Dyson(ダイソン)は掃除機が有名であるが、他にも様々な商品を販売している。掃除機の次に思いつくのは「羽根のない扇風機」ではないだろうか。その羽根がないということで話題になった扇風機が発売して数年経つが、現在では空気清浄機能+ファンヒーター+扇風機の3つの機能を組み合わせたPure Hot+Cool(ピュアホットアンドクール)という商品が発売されている。さらにスマホ等からの遠隔操作が可能なPure Hot+Cool Link(ピュアホットアンドクールリンク)というのも発売されている。このPure Hot+Cool Link(ピュアホットアンドクールリンク)の紹介と、実際の電気代はどれぐらいかかるのかをレビューしたいと思う。
Dyson Pure Hot+Cool Link
購入したのは現在最も多機能なDyson Pure Hot+Cool Link(ピュアホットアンドクールリンク)である。空気清浄機、ファンヒーター、扇風機の機能があるため、一年中使用できる製品である(片づける必要がない)。使用頻度が高いため満足度は高い商品と考えられる。春は花粉などの空気清浄機として、夏は扇風機・エアコンのサーキュレーターとして、秋は寒い日にファンヒーターとして、冬はファンヒーターとして使用可能だ。また、Linkとついているものは、スマホやタブレットをリモコン替わりにして本体を操作できる(Wi-Fiを使用)
新型フィルターになった2017年モデルも発売されている。
開封しながら機能を紹介していこうと思う。まずは外箱から。実寸大の本体の写真が印刷されていてどれぐらいのスケール感か、わかりやすいし、シンプルなパッケージだ。
シリーズとしてWi-Fi機能が省かれた「Pure Hot+Cool」、空気清浄機能のない、「Hot+Cool」等もある。機能が省かれている(過去に発売していて元々機能がない)ので価格が少し安いが、できれば全部入りのPure Hot+Cool Linkを購入したほうが満足度は高いし、使用頻度も上がるだろう。ファンヒーターと扇風機と考えると高めな価格ではあるが、空気清浄機と考えると一気に妥当な価格になるし、機能を考えると逆に安く感じるかもしれない。
パッケージの裏側にはダイソンさんの写真とコメントが載っている。モノづくりに対する熱意が伝わってくるようなコメントだ。全く新しい方法を発明して特許も取得しているから、堂々と仕組みなどを公表できるわけだ。ホームページなどを見ても分かるが、ここまで内部構造を説明しているような家電はないのではないだろうか。日本の家電メーカーも見習うところが多々あるのではないだろうか。
価格は家電としては高い部類に入るが、開発費の回収を考えると、それぐらいかかるのかもしれない。サイクロン掃除機を発売したときもダイソンの価格は高かったが、日本のサイクロン掃除機が惨敗しているように、価格ではなく物として良いものか、技術的に優れているかどうかが重要なのではないだろうか。(日本の家電は安売り路線だったが、ダイソンをきっかけに価格の高めな掃除機が増えたような気がする)
箱を開けると、取扱説明書、リモコン、本体が入っていることがわかるだろう。一部、黒塗りしてあるところはWi-Fiで接続する際のSSIDやパスワード、MACアドレスが書かれたシールが貼ってある。本体ごとに違うもので、セキュリティの観点から扱いには注意したほうがよいだろう。
取扱説明書とリモコンを取り出すと、梱包された本体が出てくる。本体にもシールでWi-Fiの情報が書かれているので、実際に使用する場合は剝がしておいたほうがよいだろう。本体はこのまま箱から取り出すだけである。つまり何も組み立てる必要がなく、コンセントにさえ繋げば、使えるようになるということだ。
外箱と、中から取り出した本体を並べている。設置面積としてはA4サイズの紙の上に収まる大きさなので、結構狭いところや、低い棚の上などにも置くことが出来るだろう。デザインも初めてみる人にしては「空気清浄機、ファンヒーター、扇風機」であることがわからないであろうダイソン独自のもので、どこに設置していても気になりにくいだろう(珍しさ的には気になりやすいが)
本体の操作するボタンは1つだけである。ON,OFFだけのスイッチなので誰でもわかるだろう。細かな設定はリモコンで操作する。設定は最後に使った設定が本体に記憶されていて、次からは本体をONするだけでよい。写真上の方のパンチング穴のようなところから空気を吸い込む。円筒360°全面から空気を吸い込むため、設置面積の割には多くの空気を清浄できる。本体に空気を吸い込むときに空気清浄(HEPAフィルターを通過)するため、扇風機、ファンヒーターと使用しているときは自動的に空気清浄も行われる。PM0.1までの粒子を取り除いてくれるということで、ほこりや花粉だけではなく、においや煙、ウイルスまで除去可能ということだ。確かに部屋中の空気をPure Hot+Coolを通して循環出来れば、クリーンルームのような仕組みにはなるが、そこまで綺麗になるのかは不明だ。ただ、何もしないよりは綺麗になるだろう。
フィルターの寿命は4300時間となっている。目安としては1日12時間動かして約1年ということらしいが、ずっと部屋にいない限り12時間連続使用ということはないだろう。6時間ぐらいであれば約2年持つということになる。使う頻度や汚れ具合によると思うので、あくまでも目安ということで理解しておこう。
リモコンはパッケージに機能が紹介されており、すぐに使い方がわかるだろう。アイコンを見るだけでも大体想像できるはずだ。リモコンは本体上部にマグネットがついているため、そこにくっつけておくことが出来る。いつも定位置に置いておけば無くす可能性も低くなるだろう。
さらに、Pure Hot+Cool Linkを購入すれば、このリモコン操作をスマホやタブレットから行うことが出来る。設定を完了させるとどこからでも操作が可能となる。自宅内だけではなく、外出先でも操作が可能となる。今流行りのIoT(Internet of Things)対応と言えるだろう。帰宅前に部屋の汚れ具合、温度を確認して外出先から電源を付けるということも可能であるし、消し忘れた場合も外から電源をOFFにできる。
消費電力と電気代は?
定格消費電力や口コミで電気代が高いと言われているが、本当かどうかを確かめてみたいと思う。確かめる方法としては[省エネ]家電の消費電力を測ってみようの記事で紹介しているワットモニターを使用する。
ファンヒーター機能を使用したときが一番消費電力が高くなると考えられるので、その状態の消費電力を見てみる。
風量はオート(部屋がきれいな状態:風量1)でファンヒーターがON(設定温度に達していない状態)で首振りをONにした状態では、
実測値 1011[Watt](=1.01kW)
であった。この状態で1時間動かすと
1.01[kW] × 1[h] = 1.01[kWh]
となり、例として2017/1時点の東京電力の26[円/kWh]を掛けると、
1.01[kWh] × 26[円/kWh] = 26.26円
となる。設定温度になるまではヒーターがついた状態になるので、上記の消費電力になる。設定温度になると、ヒーターが切れるので一気に消費電力は下がり、5.7W(0.0057kWh×26円=0.14円/時間)になる。ちなみに、設定温度は1℃~37℃まで設定できるが、ヒーター出力は一定であるため、温度を上げたからといって、より暖かい温風がでるということではなく、ヒーターが切れるまでの時間が延びるだけである。部屋の状態にもよるが、外気温で冷える方が強い場合、ある程度のところで室温上昇は止まる。その場合、設定温度に達しないため、ずっとヒーターがついたままになり、高い消費電力のままになる。
そのため、なるべく低い温度設定にしておくことをお勧めしたい。エアコンのように天井部分で温度を測定している場合、暖かい空気は上昇するため、足元が寒くなり、高めの温度設定をする方がいると思う。しかし、ダイソンのHot+Coolは足元で温度を測っているため、少し低めに設定しても部屋としては暖まった状態にできる。動いている時間が長かったとしてもヒーターがOFFになっていれば非常に低い消費電力になるので、部屋の熱を逃がさない工夫をすれば最小限の消費電力で温度を維持できるだろう。
ダイソンのHot+Coolは風量設定もあるので、その場合の消費電力と1時間当たりの電気代をまとめておく。
風量と消費電力の関係は大体上記の通りになる。ファンヒーター時と扇風機時では大きく消費電力が違うのがわかると思う。出来るだけヒーターをつけないようにして使用すると省エネになることがわかると思う(設定温度に早く到達するような低い温度設定にするとよい)また、Hotの場合、風量によって最大と最小で200Wぐらい差がある。制御はよくわからないが、風量が少ない方が省エネ効果がより高い。体感的ではあるが、Hotの場合はあまり風量を上げないほうがより暖まりやすいと考えられる。(風速が上がると空気が冷めやすく暖まりにくい)そのため1~3ぐらいで使用するのが現実的と考えられる。最大風量にしてしまうと、仕様の1200W超えになることもあるようなので、タコ足配線や、細い延長ケーブルを使用する場合も注意が必要だろう。
一方、Coolの扇風機としてはそんなに大きな消費電力ではない。最大と最小でも38Wぐらいの差である。風量を変えるだけであればこれぐらいの消費電力の差なのにHotの場合は他に何か変わっている可能性があるとも考えられるだろう。扇風機、空気清浄として使用するには問題ない消費電力であると思う。
首振り機能の有無はあまり影響していないくらい小さな消費電力である。cool時に測定してわかるくらいの小ささで約1.5Wぐらいである。ナイトモードはさらに表示などの電力0.2W~0.3W減っている。次に電気代に換算してみる。
26[円/kWh]で計算すると上記のようになる。1時間使った場合の金額だ。設定によってかかってくる金額にどれだけ影響があるのか何となくわかるだろう。
あと、待機電力としては1.9W(約0.05円/時間)である。常にWi-Fi接続しているので多少の消費電力はある。また、スマホから設定できる常時モニター(温度、湿度)をONにすると、3W(0.078円/時間)になる。これは製品内に空気を微量入れながら測定しているようで、オフの状態でも多少の動作音と空気の流れがある。別に部屋の温度、湿度をモニタリング(外出先から見るなど)することがなければOFFにしておいてよいだろう。
まとめ
1日に6時間程度使用したとすると、158円になる。1か月使い続けると4,884円である。電気ファンヒーターとしてはこの程度が普通かもしれないが、エアコンと比べるとやはり割高である。部屋が広ければ広いほど電気ファンヒーターのほうが不利になるので、常時使うのであればエアコンのほうが良いだろう。
脱衣所などの狭い部屋でエアコンは付けれないが、時間限定(風呂に入る時間)で暖めたいときなどには良いかもしれない。寒い部屋で着替えるのが苦痛とか、ヒートショックを防ぎたいとかであれば使えると思う。
電気代を気にするのであれば、ファンヒーターの使用状況が限られると思うが、扇風機、空気清浄としては消費電力が低く、常時つけていても問題ないだろう。
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