様々な家電製品が出回っているが、その製品がどのくらいの消費電力か把握している方はおそらく少ないだろうと思う。店頭などで「省エネ」とか「エコ」とかの言葉だけを見て購入するという方がほとんどではないだろうか。具体的に大体このくらい使って月にいくらという概算が書いてあることもあるが、あくまでも概算なので使い方によっては差が出てくることもある。実際に消費電力を測ることが出来れば、自分の使い方でどれくらい電気代がかかるかを把握することも可能になり、節電につながるだろう。この記事では家電の消費電力を測り方の紹介、どのくらいの電気代がかかっているか計算をしてみたいと思う。
当たり前すぎて意識していないが、テレビもパソコンもスマホの充電もエアコンもオーディオも電気がないと動かないものだ。つまり、電力を消費していることになる。製品によって消費電力の大小はあるというのは理解できると思うし、カタログ等にも消費電力*W(ワット)と書いてあるので大体の消費量や電気代は計算できる。
しかし、製品の使い方で消費電力は変動するはずだ。つまり、実際にはカタログに書いてあるような消費電力固定ではなく、多少は変動しているはずである。カタログに書いてあるのはあくまでもメーカーの公称値であって実際の消費電力はやはり測ってみないと分からない。
少し前に車の燃費を偽装しているというニュースがあったが、「メーカーの公表している燃費」と「購入者が実際に使用する時の燃費」があまりにも違いすぎていたことで問題になっていた。家電にも同じようなことがあるかもしれないが、家電製品の場合は家全体の電気代に大きく反映されないと気が付かないということもあり、単体の製品で消費電力があっているかどうかはほとんどの方はわからないのではないだろうか。
基本的に家電の場合、定格消費電力(最大で使用する消費電力)を超えないようになっているので1000Wと書いてあれば1000Wを超えることはないので、予想より電気代が増えるということはないと考えられる。逆に定格消費電力1000Wと書いてあっても、もしかすると消費電力は800Wしか使っていなかったりして意外と消費していない場合もある。
カタログを見ると最大消費電力が40Wや1200Wと書いてあるが、本当にあっているのか、こうなってくると自分で消費電力を確かめないと信じられない状況になると思う。ネット上には製品も購入せずに定格消費電力だけを見て「電気代がかかる」と批判したり、他の家電の影響も受けているのに「電気代があがった」等のコメントがあり、根拠もない感覚的なものが多々ある。定格消費電力だけで比較したりしているのもあまり信用できないだろう。
正確に消費電力を把握したい場合、リアルタイムで消費電力を測定してくれる機器が必要だ。所謂、「電力の見える化」である。こう書くといろいろな機器や、工事が必要になったりするのではないかと心配するかもしれないが、誰でも意外と簡単に見ることが出来るのでその方法を紹介したいと思う。
ワットモニター購入
消費電力を見えるようにするには「ワットモニター」というものを購入する。いくつか発売しているメーカーはあるが、店頭に置いてあったサンワサプライさんのワットモニター(TAP-TST8)を購入した。
サンワサプライ ワットモニター5種類測定可能 検電器 TAP-TST8
ちなみに後継機種も発売している。少し価格が高いが機能は同等であると思う。
アマゾンのレビューを見ると分かるが、当たり外れがあるのか、ケーブルが焦げる等の報告があるようだ。おそらく接触不良部分があり、高い負荷(高いワット数)のものを繋ぐと発熱するということだと思う。全部がそうではなさそうなので、生産のばらつきで発生していたものかもしれないし、すでに対策されているかもしれない。ただ、黄色いテープで貼ってあるような注意書きはあるので常時コンセントに挿したままという使い方は避けたほうがよいかもしれない。
万が一、配線が熱くなったりした場合はすぐに外したほうが良いだろう。積算で電気料金も計算できるようだが、とりあえず消費電力を確認するだけなので常時接続は不要だろう。私の購入したものは1000W以上(もちろん本体に書いてある1500W以下で使用しなければいけない)であっても今のところ特に問題なく測定出来ている。不安であれば他の製品を探してみてもよいだろう。
ワットモニターの使い方
特に説明書を見る必要もないくらい簡単である。ワットモニターを壁のコンセントに挿して、測りたい家電をワットモニターにつなぐだけである。
液晶の画面は壁のコンセントに挿したときに自動で表示される。特に電源スイッチは用意されていない。何も接続していない場合は0.0Watt表示だ。
2段表示になっていて上段のほうは料金やCO2や積算を表示できるが先に書いたように現在の消費電力だけを知りたいだけであるので、下段のWattと書いてあるところの数字を見ていく。
では、試しにスマホ充電中の消費電力を測ってみる。
ワットモニター→アダプター→USB-Lightningケーブル→iPhone 6sの順で接続している。(iPhone純正でないアダプターとケーブルを使用しているがご了承いただきたい。)この状態でワットモニターを壁のコンセントに挿す。つまり、壁のコンセントに直接家電を繋ぐのではなく、このワットモニターを通すことによって測定することができるということである。
スマホの充電中は約4.5Watt(W、ワット)電力を消費しているということになる。1秒間隔で値は更新されるためリアルタイムで消費電力を見ることが出来る。
電気代に換算
消費電力が見ることが出来たが、ワット表示だといまいちピンと来ないだろう。そこで、わかりやすいように電気代に置き換えてみる。電力会社では電気代を1kWh(1キロ ワット アワー)あたりの金額を提示している。「1kW」というのは1000Wのことで、「h」はhour、1時間を意味している。つまり1000Wを1時間使った時の金額が電力会社から提示されているということだ。W(ワット)だと桁が大きくなるからkW(キロワット)を使用している。1000で割るとワットからキロワットに変換できる。
スマホの充電で4.5W(0.0045kW)の消費電力で3時間充電したとすると、
0.0045[kW]×3[h]=0.0135[kWh]
これに例として2017/1時点の東京電力の26[円/kWh]を掛けると、
0.0135[kWh]×26[円/kWh]=0.351円
毎日充電したとして年間では
0.351円×365日=128.115円
となる。およそ年間128円ということで、他の家電製品に比べると電気代にほとんど影響していないと考えられる。無理してスマホの充電を控えるようなことはあまり効果がないということである。ワットモニターがあれば数値化ができて、こんなことも分かってくるのだ。
最後に
ワットモニターがあれば簡単に消費電力がわかり、大体いくらの電気代をつかっているかがすぐにわかる。請求が来てから何が電気を食っていたのかわからないという状況になるということは少なくなると思われる。節電して電気代を安くするということにも使えると思うし、家電を買い替えるときの消費電力のベンチマークにも使えるだろう。
家電のレビューとしても消費電力の実測があるとカタログ値よりも信頼性が高いだろう。また、節電出来る設定や、使い方のアイディアも出てくる可能性がある。
一時期、CO2を減らさないといけない、原発が停止して電力が足りなくなると言われていて、節電が呼びかけられていたが、何故か、最近はあまり聞かなくなった気がする。おそらくいろいろなところの思惑があるのだと思うが、快適に暮らせる範囲で節電を意識できればよいのかなと思う。省エネ製品も増えてきているので買い替えるだけで便利で電気代が安くなるということもあるだろう。その効果を数値ですぐ確認できるワットモニターを持っておいても損はないと思うので、気になる方は是非測ってみると良いだろう。
コメント