スマートフォン(以下、スマホ)を利用している方のほとんどが本体購入時にスマホを保護するためにスマホカバーを購入しているだろう。ただし、どんなに薄いスマホカバーだとしても厚さが1mm程度厚くなるし、大きさも一回り大きくなってしまう。持った感じが全然違うので、できるだけカバーは付けたくない派であるが、傷や使い心地は気になるものである。そこでスマホの裏蓋に直接ラバーコーティングしてみたので、その方法を紹介したいと思う。
本来、スマホはカバーなどつけずに使用することが想定されている。放熱の問題や、持った感じの使いやすさ、デザインは最初からカバーを付けてしまっては意味がない。スマホ自体も1mm薄くするのにかなりの技術が要るはずなのに、そんなことは気にせず皆カバーを使用して1mm程度分厚くしている。
また、カバーとは違うが画面保護シートも使っているだろう。こちらは操作の感度や画面の見え方が変わってくるので、説明書には貼らないようにという注意がかかれていることもある。カバーや保護シートを外して持ったり操作してみると、画面の綺麗さや本体の大きさ、軽さに驚くこともあるだろう。
筆者は今は無きPanasonicのELUGA P P-03Eを現在使用しているが、しばらくカバーを付けていた。1年以上経って、ふとカバーを外したところ、持った感じがいいのと、画面側面に段差がないので指が動かしやすいと言うことに気が付いた。もう傷が付いてもいいという覚悟でカバーを外しているが、ひとつ不満が残っている。
これはカバーを付けていた理由になるのだが、スマホ裏面がUV塗装というものでテカテカしているのである。持つと指紋が残る感じで、しばらく持っているとべたべたした状態になる。お店で店員さんが定期的に拭きに回っているぐらいなので乾燥肌以外の人はきっと同じことを思っているのではないかと思う。様々なスマホがでているが、背面の材質がつや消しだったり皮だったり、ラバーコーティングしたほうが、さらさら感があって印象は良い。
ラバーコーティングはその名の通りラバー(ゴム)材質で艶がなく、常にさらさらしている。イメージとしては卓球の打つ面がラバーなのであんな感じである。指紋も目立つこともない。
本体に直接ラバーコーティングできれば持った感じもそのままで、ラバーのようなつや消しの感じを得られるのではないかと思っていたところ、昨年のホームセンターの展示会でよさそうなものが展示されていたようだ。私はデイリーポータルZというサイトの記事で知って、発売がいつだろうと、しばらく待っていた。
SDESIGNさんのホームページを見てみると、油性タイプであれば現在手に入りそうだった。水性タイプはもう少し発売までに時間がかかりそうであるので、とりあえず油性タイプを入手して試してみようと思った。もともとは車の塗装用で使われていたようであるが、そのほかにも使えるということが書いてあったのでチャレンジしてみた。(本体に直接と書いたが、ELUGA Pは背面のカバーが取り外し可能だ。電池パックを交換できる機種であれば大体がカバー取り外しができるはずである。本体の背面カバーを外してそこに塗装する)
カラーバリエーションもあるので単純に色を変える目的でもいけるだろう。あまり店頭(オートバックス、アストロプロダクツ等)に置いてある可能性は低いのでネットで注文したほうがよいだろう。
カラーはグロスクリア、マットクリア、マットゴールド、マットシルバー、マットブラック、マットホワイト、マットレッド、マット蛍光イエロー、マット蛍光オレンジ、マット蛍光グリーン、マット蛍光ピンク、マット蛍光ブルーがある。リンク先から確認していただければと思う。この記事で使用したのはマットホワイトである。
TSM SDESIGN ラバースプレーという商品で、塗装というよりはゴムの被覆をスプレーで付けれるものである。塗った後でも剥がすことができるので、何回でも塗れるしやり直しもできる。ただ、注意が必要なのが、油性タイプだと、スプレーに有機溶剤を使っているので、プラスチックが溶ける場合があるということだ。(溶けるといっても表面に跡が付く感じ程度だ。現状復帰は出来ないが、ラバーコーティングするのには問題ないだろう。普通の塗装だと1度きりなのでそれを考えるとまだよいだろう)
塗装する場合は自己責任で行おう。カバーとはいえ、防水機能や通気、マイク、スピーカー、カメラ等々が塞がると不具合が起きる場合がある。また、塗装で故障する場合もあるかもしれないので、十分考えてから行って欲しい。
スマホなどの取り扱い説明書には材質まで書かれていることがある。一応表面処理がUV塗装と書いてある。一部だけ塗ってみて現状復帰可能だったことを確認した。不安であれば事前に少しだけ塗ってみて確認してみると良いだろう。
はじめに言っておくが、塗装(スプレー)は初めてで何のテクニックも持っていない。そんな筆者でも何となくでラバーコーティングが出来たので、ほとんどの方はうまくいくのではないかと思う。
用意したのはとりあえず、ラバースプレー(マットホワイト)、マスキングテープ、新聞紙である。乾くまでは結構シンナーの臭いがするので換気の良いところか、外で作業することをおすすめする。
※現在販売中のものとパッケージが違いますが、同じ製品です。販売初期のは上の写真のパッケージでした。
まずは下準備として、スプレーの付いて欲しくない部分をマスキングする。マスキングテープを適当に塗りたくないところに貼る。P-03Eの場合、電池パックの水没を防ぐためにオレンジ色のパッキンが付いているので最低限そこは保護する必要があるだろう。
ちなみに細かいマスキングは難しいと思われる。乾燥する前にマスキングを外さないと、マスキングテープと一緒にラバーコートが剥がれてくるからである。(多分ラバーコート以外でも乾燥前にマスキングを外すのが普通だそうが)
あと、新聞紙に直接置くと、くっついてしまうのでペットボトルのキャップを貼り付けてスマホカバーを浮かせるようにした。
それではスプレーを吹きかけていく。吹きかける前に、よくスプレー缶を振る。あと、出来ればあったかい季節にやったほうがムラが出にくいと思われる。
上は塗る前のスマホ背面カバーである。ブラックなので、スプレーの色を選ぶときに透過しにくい色を選ぶ必要がある。蛍光色などは黒下地だと変化がわかりにくくなる可能性がある。ホワイト、ブラックは下地の色を見えなく出来る。
1回目は薄めにムラなく塗る。らしいが、結構液が出てしまい、ムラが見える。プッシュする力加減にも気をつけながらなるべく均一になるように塗ろう。また、側面が曲面になっていているのでスプレーも側面から狙って塗ったほうがよいだろう。
30分程度待って2回目の塗装をする。
また、30分後ぐらいに3回目の塗装をする。ここまでくるとだいぶ白くなる。あとは、満足できるまで塗り続ける。スマホの場合は結構酷使するので分厚目にコーティングしておきたい。(5、6回ぐらい)最後の一回は多めにスプレーして、全体が液状の状態に見えるようにして乾燥させると結構表面が綺麗に仕上がる。
塗り終わったら1日ぐらい放置すれば乾く。(4時間ぐらいで実際には乾いているが、念のため)乾燥すれば臭いもだいたい消える。
失敗した場合や、やり直したい場合は、はがすだけでよい。
早速、剥がしてみたところである。確かに綺麗にはがれるため、現状復帰は可能だ。
あと、スマホカバー全般にいえると思うが、背面だけではなく内側まで回りこませてスプレーしたほうが剥がれにくいと思われる。端があるとそこから剥がれやすいので、多少工夫は必要だろう。(ただし、内側の爪が引っかからなくなるとカバーを閉めれなくなるのでそこはマスキングしておこう。
上の写真のように内側まで回りこんでいれば剥がれにくいはず。
スマホに装着するとこんな感じである。アウトマイクの穴が塞がっているのはご愛嬌である。ブラック→ホワイトなので見た感じがガラッとかわる。
適当に塗った割にはそんなにムラなく塗れたのではないかと思う。もしかすると、スプレーのノズルがよいのかもしれない。
耐久性はわからないが、自分でラバーコーティングできるのは便利である。鍵や工具、その他、いろいろDIYで使えそうなスプレーである。(追記:2週間普通に使ったが剥がれてきていない。ジーンズのポケットに入れたり、モバイルルータと重ねて持ったりしているが大丈夫のようだ。もちろん塗装の厚さでも耐久性は変わってくるだろう。剥がれそうになっても上塗りすればセーフかもしれない。)
水性が発売すればもっと臭いが少なく、どんなプラスチックにも使用することができるので、用途がもっと増えるだろう。補修やデコレーション、傷防止など使える場所は沢山ありそうだ。カラーバリエーションもあるので今回のスマホのカラーリングにも使いやすいだろう。ラバーコーティングなので見た目も持った感じもよい。
是非、興味のある方はチャレンジしていただければと思う。
コメント
記事読ませていただきました。
一つ質問なのですが、このラバースプレーの乾燥後の手触りは、
よくプラスティックに高級感を出すために使われている、
桃の表面のようなさらさら感を持ったものでしょうか。
あるいは、いかにも「ゴム」という感じのさらさら感はないものでしょうか。
愛用のマウスに、前者の桃の表面のようなさらさらラバーコートがなされているのですが、
このテのコーティングは経年劣化で加水分解し、
やばい感じにベタベタになってしまいます。
この塗り直しに使えないかと思いまして、手触りを知りたいです。
書き込みありがとうございます。ご質問の回答ですが、想像されているものと一致するかわかりませんが、さらさら感はあります。ゴムのような弾力はありません。スマホのケースで売っているラバーコーティングと同じ感じです。(量販店でラバーコーティングの見本があるところもあるので触ってみるとよいと思います)
ただ、マウスに塗るのは難しいかもしれません。マスキングが必要だったり、平らでなかったりするとテクニックが必要かもしれません。境界や曲面があるとやはり剥がれ易い状態になります。オフィシャルページなどを見るといろいろなところに塗っているので、意外とがんばれば綺麗になるかもしれません。チャレンジしてみるのも良いかと思います。(何回も塗りなおし可能ですし、他のものにも使えるかもしれないので)