PCオーディオをグレードアップさせる方法

PCオーディオの始め方を紹介したが、より良い音を求めたくなる方もいるだろう。特に過去からオーディオを扱っておられる方はPCオーディオの利便性とこれまでのオーディオの高音質な環境を組み合わせたいと思うかもしれない。スピーカーで聴く事を前提にPCオーディオをグレードアップさせる方法を実例で紹介したいと思う。

始める前に少し注意である。あくまでもPCオーディオ(デジタル)の考えが基にあるので物を購入する場合はスペックや原理を筆者は確認することが多い。なぜこんなことを書くかというとオーディオショップに行くと高額な「何?」と思われるものが多く売っていることがある。音がよくなるからと購入し続けてはいくらお金があっても足りなくなる。多少は疑ったほうがよいかもしれない。記事の中ではスペック化、表現が難しい音質についてはあまり書かず、実際の試聴を勧めるように書いている。

筆者はパソコンで音楽を聴くところから始めているので、パソコン用のサウンドボード(カード)やUSB DAC、アクティブスピーカーを主に使ってきた。パソコンで言うとCREATIVEやONKYOがUSB DACを販売している。標準のパソコンのオーディオと比べるとノイズも少なく良い音を出すと言うことはわかっていたので、普段からUSB DACは使っていたという感じだ。(ちなみにパソコン用USB DACは聴くだけでなく録音も想定しているのでハイレゾ録音なども実はできる。高くても2万円あれば購入できる。逆に言えばこれぐらいの値段でハイレゾも再生できるし、録音機能も付いてくる。パソコン分野は原価に近いので相場としてはこの程度かなと思われる。)

価格.comのカテゴリはサウンドカードになる。パソコン内部に直接取り付けるものや、一般的なUSB DACと同じようにUSBで外付けするタイプに分かれている。パソコンの周辺機器なので、パソコンとの相性等々もあり、トラブルがあると基本的に自分で対処しなければならない。筆者はONKYOのUSB DAC SE-U33GXV2(B)を使用してきた。また、アクティブスピーカーは同じくONKYOのGX-D90(B)を使っていた。どちらもパソコンの周辺機器として売られているのでパソコンショップやパソコンコーナーに置いてある。

トラブルなく再生できれば、PCオーディオとしては良い感じの環境になるだろう。(私の場合はいろいろと不具合が発生したが何とか解決して使っていた。パソコンとSE-U33GXV2でプチノイズが乗るのは別途USBボードを追加して対応。GX-D90の音量が左右で異なるのは、PCの音量を小さくして、スピーカーの音量を上げていた。GX-D90はボリュームが小さいとアンプが不安定なようだった。また、左右のスピーカー重量が違いすぎる。)

USB DACとアクティブスピーカー(アンプ内蔵)で満足できる方はそれでよいが、さらに選択肢を増やして良い音で聴く方法が「USB DAC内蔵のプリメインアンプ」と「パッシブスピーカー」の構成だ。近年プリメインアンプにUSB DAC機能を付けたものが出てきているので、PCオーディオでもパッシブスピーカー(アンプなどが入っていない純粋なスピーカー)を鳴らすことができるようになっている。

アクティブスピーカーからパッシブスピーカーにすることで環境をグレードアップできる。元々アクティブスピーカーはアンプを用意しなくても手軽に鳴らせると言うことが特徴であるので、高額なものはあまりないし、音質もそれなりである。パソコン用のスピーカーやiPod用のスピーカーも標準よりは音がいいかなという程度でミニコンポのような音楽を聴く用途には向いていない。(とはいえ昔よりはいいスピーカーが増えてきている)

パッシブスピーカーは音楽を聴く用途で作られているため、基本的に音質にこだわって製作されているはずだ。また、メーカーもスピーカーもかなりの数が発売されているし、自作している方もいる。アクティブスピーカーと違ってアンプ回路も入っていないため、左右とも同じ重さ、同じスピーカーを使うことができ、左右の聴こえ方の違いも出てこない。

ここからは私の環境を紹介しながら、USB DACプリメインアンプとスピーカーを選ぶ方法を見ていこう。

まず、PCオーディオであるのでプリメインアンプ、スピーカーが置けるスペースがあるか確認しないといけない。特にスペースが沢山ある場合は気にしなくてよいが、通常はパソコンデスクのみでメインアンプを設置する場所がないということが多々あると思う。(スペースを気にしない方はこちらからUSB DAC付きのプリメインアンプを音質と価格から選ぶとよいだろう。)

筆者の場合、デスク上に置きたい&イヤホンアンプとして使えるものを探した。USB DACプリメインアンプの一番小さなものを探すと、今のところOlasonicのNANOCOMPOシリーズになると思う。CDケースを3枚重ねたぐらいの大きさだ。このNANOCOMPOシリーズのNANO-UA1というプリメインアンプを購入した。小さいから音が悪いというわけではない。音質を重視して作られている製品であり、普通に部屋で聴くのであれば十分な音が出てくる。どの程度かというのは是非試聴して確かめて欲しい。

性能アップした製品も販売中だ。

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シンプルな外箱である。

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開封すると、USBケーブル、ACアダプタ、コンセントプラグ、リモコン、本体、取り扱い説明書が入っている。

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前面はこのような感じである。質感は写真のような感じで一見ざらざらしていそうだが、触ってみると特にそんなことはない。イヤホンジャック出力が前面についているのでヘッドホン、イヤホンアンプとしても十分使える。ちなみに電源はACアダプタから供給されるので、USB DACによくあるUSB給電のように不安定になることはない。(ただし、PCとは電源ON/OFFが連動しないので手動で行う必要がある)

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ボリュームつまみもアルミ製である。滑らかに回転できる。リモコンからBASSを強調する機能もあるが、あまり使うことはない。半透明の丸はリモコンの赤外線受信口である。

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背面の入出力である。LINE(ミニジャック)、COAX、OPT、USBの入力が可能である。LINEにスマホやポータブルプレーヤーを繋げば良い音で聴ける。入力切替は前面のボタンにて行う。スピーカー出力はステレオ(シングルワイヤー接続)である。

通常のUSB DACと同じスペースにUSB DAC付きのプリメインアンプが置けると考えるとこの商品の価値がわかるだろう。PCオーディオをやる方に選ばれる商品だと言うことが良くわかる。もちろんUSB DACとしては96kHz,24bitの出力が出来るのでハイレゾの再生も可能と言うことである。

価格としてはやや高めに見えるが、イヤホン・ヘッドホンアンプ、プリメインアンプ、USB DACがコンパクトにまとまっていると見れば納得できるだろう。研究開発やアルミ筐体の金型費を考えると安く出来ないことはわかる。(大量生産するような商品でもないと思うので)

スペックを見るとスピーカー出力が26W+26W(4Ω)(ダイナミックパワー)、13W+13W(8Ω)(ダイナミックパワー)となっていて、他のメインアンプに比べると少ない。これは使うスピーカーや、聴く部屋の広さにもよるが、家庭内で再生するような場合であれば、必要最小限だと思われる。もし出力が大きくても実際にはボリュームつまみをフルに回すことはないはずだ。不安であれば試聴させてもらい、ボリュームを振ってみよう(お店でも大きいと感じる音量になるはず)。

ただし、現在NANOCOMPOシリーズには他にも様々な機器が用意されている。その中にはパワーアンプも用意されていて、そちらを使えば56W+56W(4Ω)/28W+28W(8Ω)のスピーカー出力ができる。その他にも、CDプレーヤー、ネットワークプレーヤーが用意されており、拡張性は高い。筐体の大きさは同じなので、積み重ねることも可能である。

次にパッシブスピーカーを見ていきたい。価格.comのカテゴリではスピーカーである。かなりのメーカーがあるので非常に選択が難しいと思う。ここは手当たり次第に試聴するか、店員さんのお勧め等を聞くか、ネットで情報を探して候補を絞り込んでいく必要がある。価格帯でも選択肢は絞れると思うので予算を先に決めると言うのもありだろう。

筆者はショップにおいてあった10万円以下のスピーカーで試聴していった。ネットでも情報をある程度収集していった。人それぞれ聴くものが違うし、聴いてみないとわからない。できれば普段聴きなれている音楽のほうが違いがわかっていいかもしれない。是非CDを持ってお店で試聴することをお勧めする。(ああゆうところで「凛として時雨」流すのは怒られるかと思ったが、富山のクリアーサウンドイマイさんでは大丈夫だった)

そこで選んだのがKEF(ケー・イー・エフまたはケフ)というイギリスのメーカーのQ300 Version Upというスピーカーだ。高音がきつくなく、自然に聴こえるという印象でアコースティックギターやピアノが綺麗に聴こえる感じだ。情報の面でいうと、KEFは1961年創立でスピーカーの分野では高い評価を受けているということ、新しい技術、材料を取り入れているところ、Olasonic(オラソニック)の社長室にKEFのスピーカーがあることなどである。Uni-Qという技術、Olasonicとの相性も良さそうということでQ300 Version Upに決めた。現在は販売が終了しているので後継機種のQ350のリンクを紹介しておく。

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外箱はこんな感じ。スピーカーが2本入っているので大きさは結構大きい。梱包自体はかなりシンプルですぐに取り出すことができる。一応、コンパクトカーの後ろに乗せたり、一人で運んだりできる重さ、大きさだ。

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設置した外観としては上の写真のようになる。Uni-Qであるため、通常分離されるツイーターがスピーカーの真ん中に来ている。これによって点音源になり、自然に一箇所から音が聴こえる。2wayであるが、オーディオの理想である1wayフルレンジの点音源を実現しているため、多少リスニングポイントがずれても良い音で聴けると言うわけである。

エンクロージャー(キャビネット、箱)はバスレフ式でフロントにダクトがある。写真を見るとわかるが、スポンジがはまっているのがわかると思う。スピーカーの説明書にも書いてあるが付属のスポンジをつけないと低音が大きく聴こえるようになっている。フラットに聴くにはスポンジが付いている状態にしないといけないので試聴する際にスポンジが入っているか確認しよう。(そうでないと低音をかなり強く感じると思う)

ブックシェルフ型でパソコンデスクには載らないので、スピーカースタンドも購入した。結構大きめのスピーカーであるのでHamilex SB-351のしっかりしたものを選んだ。組み立ては10分もあればできる。

配線はバイワイヤリングで接続している。スピーカーケーブルはaudio-technica GOLD LINK Fine スピーカーケーブル 3.0m AT567S/3.0を使用している。3mの線が2本入っているので切断して1.5mの線を4本作成した。安価でバイワイヤリングしている。

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Olasonic NANO-UA1の背面配線。配線は左からUSB(PCに接続)、DC IN(アダプタ)、スピーカ右、スピーカー左である。バイワイヤリングなのでスピーカー各端子に2本ずつ接続している。プリアンプが小型なので配線が込み合っているのがわかるだろう。太いケーブルや硬いケーブルは接続しにくい、または出来ない場合もあるので注意が必要だ。

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KEF Q300 Version Upの接続である。バイワイヤリング対応のスピーカーなので上の写真のように接続している。バイワイヤリングで使う場合は上の写真のように真ん中のつまみを回して、白いしるしが見えるようにする(内部のジャンパー接続が切れる)もしシングルワイヤーで接続したい場合はつまみを回して下の写真のように白いしるしが見えないようにする。(内部のジャンパー接続が繋がる)バイワイヤリングと言いながら両方対応しているという設計であり、手軽に切り替えができる。

(余談:1m数万円というケーブルもあるが、音質が良くなる根拠がわからず。配線だから抵抗値の問題だけだと思うのだが。太さ、長さ、導体材料で決まるが、もし1mの配線で抵抗値変わったりする配線って半断線とか間に抵抗いれている不良品では?と思ったり。また、USBケーブル,LANケーブル,中継したら音が良くなるケーブル,NAS,謎のUSB等々あるがデジタルでビット(0,1)を転送しているのに何故高音質になるのか理由を聞きたい。逆にビットが変化するのであれば、正確にデータを転送するデジタル機器としては不良品だと思うが)

この環境にしてから、音楽を心地よく聴く事が出来るようになっている。明らかにONKYOのUSB DACとスピーカーの聴こえ方とは違う。筆者としては満足できる環境にグレードアップできたと思う。映画館で聴こえるような切れの良い音も出ている気がする。(映画館はJBLなどのスピーカーかもしれないが)

是非、この記事を参考にオーディオ環境をグレードアップしていただければと思う。

コメント

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